材料を揃えよう

「初めての試験で一等とはめでたい話じゃあないか。本人には内緒で宴を催す。準備する側も楽しめる良い案だな」

『プレゼントはカガミ様とデセオ様がお決めになるそうですね。一体なにを用意なさるのでしょうか』

「さて。まあ保護者代わりのカガミが居れば、そうそう妙な事にはならん。オレ達は何も考えず、必要な物資の買い出しに勤しもう」

『大半が食材です。カガミ様ひとりで、これだけの料理を作り切れるのでしょうか。僕もお手伝いをした方が良いかもしれません』

「どれ。……これは作るのも骨だが。食べる方も気合が要りそうなフルコースだな。子供が好きそうなメニューが粗方並んでいる」

『ハンバーグ、エビフライ、カレーライス、コロッケ、コーンサラダ。リヒト様がついてきてくださって良かったです。これだけの品目を作るための食材など、僕ひとりではとても運べません』

「……おい。ここに闇鍋とか書いてあるぞ」

『これは。デセオ様の筆跡でしょうか。材料。靴下、トカゲの目玉、カラメル色素ましましの炭酸飲料、その他およそ通常の煮込み料理には使わないだろう材料が延々と』

「消しておくか」

『ええ、食卓の平和のためにそうしましょう』

 

「――さて。残す所は、オニオンスープに浮かべるクルトンか。バケットも買わないといけない。あそこのパン屋に寄ろう」

『そうですね。あとはカガミ様の所にこの材料を持って行けば。おや』

「どうした」

『いえ、そこのケーキ屋さんの店先に』

「ああ。メレンゲ細工か。犬、猫はわかるが。……なぜここの店主はラインナップに恐竜を加えようと思ったのか」

『アカリちゃんも好きでしたよね、恐竜。カガミ様の手作りケーキに乗せたら喜びそうです』

「そうだったな。だが、リストにはないぞ。メレンゲ細工なんて」

『折角のサプライズパーティーなんですよ。僕達からもサプライズがあっても良いのではないでしょうか?』

「……ったく。今回は特別だからな。お前達、子供を甘やかすのは程々にしろよ」

『ええ。この心に留めておきます、正義の味方殿』