怪人と作家の遭遇 結

 もはや説明すべきなど事ない。おれは久々に他人とありつく食事に舌鼓を打っていた。メニューは冷や飯に、溶いた卵とメンマを一緒に炒めただけの素っ気ないチャーハンであるが、がつがつと食って空腹を癒すには適当な一品である。

 食事のついでにあれこれと怪人から情報を聞き出した。彼は本の世界の住人であり――様々な時間を旅行する旅人であり――他の仲間と共に摩訶不思議な事件を解決したりしなかったりしているのだという。怪物としての程度も三流なら、理由もありふれている。目新しい事なぞ何一つない。そんな題材で書籍化できるならおれがとっくに成し遂げている。

 飯だけでは味気ない、追加で豚肉を焼く。飴色の玉葱に醤油を絡めたそれを大皿でどすんと出せば、ヘルメットの怪人は箸を巧みに使ってそれも食べ始めた。美味い、美味いと喜んでいる。まあ他人から褒められるのは満更でもない。対面の席に落ち着くと肉に箸を伸ばし。はた、と気づいた。

 待てよ。こいつ、ヘルメットを外さず、バイザーも上げずにどうやって飯を食っているんだ。むしゃむしゃ、元気よく聞こえる咀嚼音が途端に恐ろしく感じて、おれは遂にテーブルの木目から顔を上げる事ができなくなった。やっぱり怪人は怪人。三流だろうが、腐っても怪物なのである。