執事の到着

 古ぼけたトランクを足元に置いて、執事は長旅ですっかり凝り固まった体を解すべく伸びをした。

 到着した駅は人の行き来もまばらだ、ホームの内部にある喫茶店には開店の札が掛かっているが中に客が居る気配は無い。

 背後で列車の汽笛が響いた、巨大な生物が欠伸混じりについた溜息にも似た響きを残し、くろがねの車はゆっくりと線路を進む、路は海の上へと続いていた。

 自分だけがぽつねんと佇んでいるのに気づくと、足元の荷物を取る、ひたひたと駅のホームにまで打ち寄せる波の音を聞きながら、まずはそこの喫茶店でシーフードサンドウィッチでも食べようか。