古物屋の正論

「執事って、いくら位の稼ぎがあれば雇えるんだろうなあ……」

 向かいの古物屋の店主を捕まえて相談を持ち掛けると、相手はいかにもうんざりとした様子で金色の目を細めた。二足歩行の化け猫は店先の瓶から柄杓で水を掬うと、乾いた道へ撒いていく。執事雇うなんざ道楽だよ、と黒猫店主は鼻をひくつかせながら語った。第一、ただの庶民が使用人抱えて何になる、一人住まいで人手が足りんほど忙しい訳でもあるまいに。

 小馬鹿にしたような物言いは鼻持ちならないが、古物屋の言う事は尤もだ。必要に差し迫られて人を雇う訳ではない。不要なものに稼ぎを使ってどうする。それこそ正しく――思い至った結論に、若き鋏屋は思わず笑ってしまった。

「道楽、か。気構えだけなら立派な成金なんだがね、俺は」