死にたがりの恋人

 困った事に、俺の好きな人はあまり自分の命を大事にしてくれない。

 商店街では古株の古物屋に何を依頼されているのか知らないが、長袖のワイシャツからよく、ちらりと白い包帯が覗いている。

 何をしているのかとか、怪我をするような危険な目に遭うならよしてくれとか。言いたい事は色々あるが、募るほどに言い出せない。何事も無いように店から出て行こうとする燕尾服に、そっと手を振った。

「いってらっしゃい」