毛布の留守番

「執事さん、居るかい」

 部屋の中央に人ひとり分のなだらかな山を形成した毛布から、もぞりと手が出てきた。握ったメモには一言、留守ですの文字。

 模範的な居留守であった。困った、彼に用事があったというのに。寒風に冷えた袖を擦って入室すると、山の傍らに腰を下ろした。じゃあ帰ってくるまでここで待たせて貰おうか。

 やがて手が引っ込み、新たなメモの代わりに人肌の蜜柑が差し出された。