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■■の幕間

  • リフレイン

 大人になった俺達は、さようならを軽んじている。

 自らの人生くらい自由に操縦できると思っていた。誰かとの出会いも別離もこの手で選べるのだと。

 そうじゃない。本当の別れは、前触れなくやってくる。心の準備をする猶予も無く、断頭台の刃にも似た非情さで縁を断ち切るのだ。

 もう一度会える確率の方が高いせいで忘れてしまう、世の中には絶対なんて無いのに。

 

  • ノイズ

 街外れの森には、怖ろしい魔女の家がある。お菓子で作られ、いかにも無害そうな顔をして佇むそこには、魔法と科学を悪用する研究者達が住んでいるのだ。

 鋏屋はマシュマロでできたベッドに横たわっている。鉤鼻をした魔女の仮面を被った黒衣の人物が覗き込んできた。これはきっと夢だろう。そういえばこの間も、執事絡みで悪夢を見たばかりだ。

 ただ、もし、本当にこれが夢でなかったら。鋏屋は商店街仲間の不始末対応に追われて、少し新聞へ載り過ぎたのかもしれない。古物屋経由で持ち込まれるのは大事が多かったので、悪目立ちをした。それで人体実験に手を染める魔女の目に留まった。

 御伽噺の中では、魔女に囚われた子供達は大抵上手く逃げおおせている。だが、自分はどうだろう。無事では済まないかもしれない。まどろむ意識の中で他人事のように考える。だってもう、鋏屋は大人になってしまったから。