ユスラの酒場

「ユスラさんって漢字で書いても三文字、読み仮名も三文字で凄いですよね」

「でもカガミくん、それを言うならサンマだって漢字も三文字、読み仮名も三文字よ」

「あっ。ううん、でもサンマも美味しいですし。あいつ、口を下にして袋へ入れようとすると突き抜けるんです。魚屋も注意書きを貼りだしてました。袋へ入れる時は、必ず尾っぽから入れるようにってさ」

 カウンターに寄りかかりながら、青年は女店主と言葉を交わす。この国では必ず名乗る名前を三文字にしなければならない。一等強いウィスキーをロックで頼んだのだが、いかんせん彼はヘルメットで頭部を覆っており、それを取る気配がない。氷が溶けてグラスの液体が二分されても二人は何も言わない。互いに慣れているのだ。

「さて、そろそろ閉店時間だわ。もう午前の二時よ。カガミくんもお家に帰らなきゃ」

「俺、ユスラさん家の子になるー」

「はいはい、また明日ね」

 店を出る。今夜は月が大きい。