ハカセの実験

 散々な一日だった。とある学校の臨時講師として呼ばれたと、博士に連れられてやってきたまではいい。しかし、あろう事かヘルメットを取って授業をせよと言われたのである。

 結果は散々なものだった。五十分の授業をやりおおせる事は叶わず、ものの二十分ほどで逃げ帰る羽目になった。

 ほうぼうの体で赤いスポーツカーに乗り込む。中にはトランクへ強引に乗り込もうとする者まで居たが、それを振り切って車道へ出た。俺はヘルメットを抱きしめながら助手席で地団太を踏む。ハカセの馬鹿野郎、こうなる事は分かり切っていたはずだ。

「もちろん。今日はいいデータが取れた。小学生まで対象の年齢を下げてもお前の機能はきちんと効果を発揮するのだ」

 思案の間が挟まる。

「……今度は幼稚園に行ってみるか?」

 こいつは馬鹿野郎なんかじゃない。無限大数馬鹿野郎だった。