アカリの平穏

「カガミ、お腹減った」

 机に頬杖を突き、うとうととしていたところ。ひょっこり覗き込んでくるまん丸の目と視線が合った。

「……おやつ?」

「もう夕方だから、晩ごはんかな」

「うお、もうそんな時間か。悪い、アカリ。今から急いで支度する」

 アカリが学校から帰って来てる時点で気づくべきだった。時刻は午後五時。給食は正午だろうから、そりゃ腹もすくだろう。台所へ早足で向かう。俺に続く彼女を振り返ると、満面の笑顔が返ってきた。

「手伝う!」

「マジ? 人参の皮とか剥いちゃう?」

「むいちゃう、むいちゃう!」

 その場で跳ねる姿はまるで兎だ。人参も好きだし、こいつの前世はきっと兎に違いない。

「よーし、じゃあアカリさんには人参をお願いしよう。今夜はカレーだぞう」

「ふおお、たぎりますな! カレーは大盛りでお頼みもうす!」

「待って、最近のアカリさんの語彙の増え方がマッハすぎる、置いてかないで」

 さあ、ご飯を作ろう。