イモコ騒動

1.

「カガミ、動物かいたい!」

「動物? 犬かなんかか?」

「ううん、ネコイモムシ」

「イモッ……」

 

 説明しよう!

 ネコイモムシとは、猫の大きさで猫の姿をした芋虫の事だ!

 猫の姿をしていても芋虫だから、体がむにむにしていて、細長くて、時々触角も飛び出る。ちょっぴり、だいぶ個性的なんだ!

 

「この場合の個性的ってのはキモいの婉曲表現だよな」

「実はもう拾ってきちゃった」

「ぬおおっ、キモい!」

「名前も決めてあるんだー」

「いや、まだ飼うって言ってな……」

「イモコだよ!」

「芋虫と猫を合わせてイモコか! 上手いな! でもウチじゃ飼いません!」

「えーっ!」

 

2.

「大体、そいつ首輪してるだろ。もうどっかの家で飼われてるんだ。勝手にウチへ連れてきたら駄目じゃねえか」

「だってイモコ、ひとりだったよ?」

「放し飼いなのか、迷子になっちまったのか……アカリ、ともかくそいつを元の場所に」

「カガミはイモコがキモいから、嫌いなんだ」

「ぬ、キモいのは認めるが嫌いまではいかないぞ」

「……嫌いじゃなかったら、すぐ返してこいなんてカガミ、言わないもん」

「じゃあ、アカリはさ。もし俺とはぐれて迷子になって、知らない奴の家に連れてかれたらどう思う? 早く帰って、おやつ食べたいなあとか思うだろ?」

「う……思う」

「それと同じだよ、イモコにも帰る家があって、おやつ用意して待ってる家族がいるんだ」

 

3.

「行っちゃった」

「そうだな。住宅地の方に行ったみたいだし、大方あっちに家があるんだろ」

「ここに来るまでにね」

「おう」

「イモコって呼んだら、こっち見るようになってた」

「マジか、すげえな」

「……また会いたいなあ」

「そうか、俺はもういいかな……」

「今度は首輪してない、野生のイモコ連れてくるから!」

「そんなに愛されて……イモコは幸せだな……」