ユスラの魔法

「アカリと喧嘩しました」

「あら、珍しい。カガミくんとあの子、とっても仲良しさんなのにね」

 ささやかな溜息。

「抱きしめてほしかったんじゃないかしら?」

「ずっとむくれてましたよ。近づいても、離れても」

「自分の分からない気持ちを分かってほしかったのよ」

「わがままですね」

「女の子からわがままを取ったら、魅力が半減してしまうと思わない?」

「……うん。それは、あるなあ」

 でもユスラさん、アカリのこと凄く詳しいんですね。

 大真面目に伝えると、彼女は猫のようにくすくす笑った。

「だってアカリちゃん本人から聞いたんだもの。当然だわ」

 そろり。カウンターの下から顔を出したアカリと目が合った。どちらともなく、最初に伝える言葉は同じもの。