アカリの蛮勇

 目の前で繰り広げられている光景が信じられない。どうして小さな女の子が吾輩を背に庇って、おっかない秘密結社の連中と対峙しているのだろう。

 薄暗い路地裏に人影はない。大の男三人に詰め寄られながら、アカリは大きく手を広げて動かない。

「だめ。デセオさんはモノじゃないもん。研究材料だなんて言わないで」

 見ろ、膝が震えてる。予想外の反抗に驚く男達も、各々冷酷を取り戻して寄ってきた。

 一人がナイフを取り出す。

 身を固くしながらも退かなかった、彼女の蛮勇に敬意を表さずして何が邪神か!

「――ああ、そうとも。悪夢のように片付けてやる」

 ふわり。拘束具が解けてアカリの目を隠す。さっきまでの威勢はどこへやら。おぞましい我が正体の片鱗を見て悪漢どもは女のような悲鳴を上げていた。

 大体、拘束されているからって、それが外れないと思い込むのは危ない。そうだろう?

 勉強代はどうやら、思ったより高くついたらしいが。