玩具の兵隊

 八本脚の軍馬、青い血の吸血鬼。黒い外套をはためかせ、馬上にて剣を抜く。

 かの貴人に従うのは白銀の甲冑に身を固めた騎士の軍勢。その数、七十二。一分の乱れもなく歩を進め、進軍を続けた。

「さあ歌え、我が同胞よ。例えこれが泡沫の夢であろうとも」

 剣を掲げる騎士団長は、高らかに兵士を導く。号令に合わせて鬨の歌を奏でる彼らは、一切の差異なき声音で音を紡いだ。

「我らは貴方」

「青き血から分かたれたもの」

「胡桃割りの衛兵、緑の兵士、玩具の軍隊。いかな断頭台にも屈しない」

「進め、進め」

「我らは終わらぬ夜を往く」

 個々人の面貌を隠す兜。目元の格子を透けて見える顔は、どれもが吸血鬼と同じ風貌をしていた。