本を選ぼう

「こんにちは、アカリさん。少し……付き合って頂いて宜しいでしょうか」

「こんにちは、シサイ先生。どうしたの? わたしにできるご用事?」

「ええ。教会でまた新しく子供を預かる事になったのですが、その子達のために本を買い足そうと思っておりまして……選ぶのを、手伝って欲しいのです」

「じゃあ本屋さんだね。……アカリ、恐竜の本が好き! 怪獣もかっこいい、戦うお姫さまのお話も好きだよ」

「あ、ええと……もう少し、落ち着いたものをと思ったのですが」

「……編み物の本?」

「それも落ち着いていて大変宜しいのですが……例えば塗り絵、とか。アカリさんは塗り絵、お好きですか」

「うん。恐竜の!」

「な、なるほど……」

 教会にいた頃は兎や子猫が好きだと語っていた少女が、自分の手元を離れた今、いかなる環境で過ごしているのか。手をつないだままはしゃぐアカリに目を細めながら、なんとも言えない胸騒ぎを覚えるのだった。