食事をしよう

「アカリ嬢、お時間を頂いても宜しいか?」

「ええと、ナイトさん? このお花は……」

「貴女に似合うと思いまして。桃色の薔薇の蕾です」

「わあ、ありがとうございます。でも、誕生日とかじゃないのに……」

「貴重な時間を頂くのですから、これくらいは当然です。この後、レストランで昼食も用意させてあります。さあ、参りましょう」

 言って指さされたのは白馬が繋がれた豪奢な馬車。ぱちくりと目を瞬かせるアカリは、まるで学校で教師に質問をするように片手を挙げた。

「ナイトさん、あの」

「何か?」

「そのお料理屋さん……タッパーとか、持っていっても大丈夫?」

 これまで数多くの淑女をエスコートしてきた歴戦の騎士は、暫時言葉を失う。事の成り行きをはらはらと見守る御者の心配は杞憂に終わった。ナイトは一層の敬愛を込めてアカリに笑みを返したのだ。

「ええ、勿論」

 その晩、カガミ宅の夕食は眩暈がするほど豪勢になったとか。