邪神の逸話

1.

「今回の仕事もつつがなく終わったようですな。感謝する、カガミ殿」

「いえいえ、こちらこそ。……俺達が飯を食えるのも、ナイト御大が仕事をくれるからなんで……」

「何事でしょうか、このデジャヴ。――ところで、最近デセオがこの部屋に出入りしているようですが」

「ああー……そうなんっすよ。アカリも懐いちまって。教育的な観点から見ると、悪影響しかないんじゃないかって」

「そこはあまり心配しなくとも構わんでしょう。デセオは子供に寛容な逸話が多く残っています。問題はあの邪神が最愛の妻をその深すぎる独占欲がゆえ、自ら手にかけたというエピソードが残っているところか」

「……え」

「曲りなりにも神格、残されている伝承には必ず意味がある。……あれの前では不用意にヘルメットを取るべきではありません」

 

2.

「……そうだよな。いっつも邪神邪神って言ってるけど、神様っていう認識はあんまなかったというか……」

「なんだとッ!? この不敬者め、吾輩を疾く敬わんか!」

「今ので一気に気分が盛り下がりました有難うございます。……今回はどっから入ったし、お前」

「いちいち説明するのが面倒なので省略する。文字数もタイトだしな」

「メタい」

「というか、オマエ。吾輩が我が妻であった女とキサマを見紛うとでも本気で思ってるのか?」

「うん、思う。てめえの事はてめえがよく分かってる。あんたに両目と認識する脳があるなら、邪神だろうとなかろうと関係はないね」

「ほう、言い切ったな。そう言われると益々気になる」

「……うん? 俺、もしや墓穴を……」

「ではヘルメットを取るがいい! なに気にするな。似ていなかったら大口を叩いた代償を命で払う。似ていたなら、ちょんと首をはねるまでだッ」

「どっちにしろ死じゃねえか! 断る!」