ナイトの失策

 見るべきではなかった。それはとうに分かっていたはずだ。ナイトは教会の裏手にある墓地で跪き、許しを乞うように一人祈るシサイを見つけて口を噤む。かけるべき言葉を見失って、臆病風に吹かれ木陰に隠れているのだ。

 無様だ。彼も、自分も。

 あの神父は自分の歪みに苛まれている。その信仰心は清らなものなのだが、容れ物たる肉体とそれを満たす精神がどうしようもなく、悪逆へ堕ちきっている事実のために。何かを殺す度に正道を説く教義に打ち据えられる。けれど彼のような化け物は殺して喰う事でしか生きられぬから、本当に正しい事をしたいなら自ら死なねばならぬ。死んでは、教えを守れない。形なきものは作為的な死を認めない。

 遂には嗚咽まで聞こえてきたものだから、堪らず踵を返し歩き出した。かけるべき言葉などない。かけたい言葉すらも。

 ただ独り無様に泣くくらいなら、いっそ神すら見限ればいいと思っただけだ。ただ、それだけなのだ。