善良不良ヒーロー

1.

「邪魔をするぞ、カガミ。……邪神の奴は来ていないのか?」

「あ、リヒトさん。いらっしゃい、数少ないまともなお客さん……! さっきまで居たんですけど、嫌な気配がするから吾輩帰るとか言って逃げてきましたよ。そこの……窓から……」

「ああ。だから窓が割れていたのか。手前も苦労をするな」

「そんな事言ってくれんのリヒトさんだけですよー!」

「なにを大袈裟な。手前の周りには他にも常識的な奴らが……」

「……いますか?」

「……済まん。今のはオレが悪かった」

「本気で謝られた……逆に辛い……まあこんな事じゃめげませんけどね。え、泣いてませんよ。泣いて、ませんから! そんな申し訳なさそうな顔でハンカチ差し出してこないで、あ、黒猫の柄だ……意外と可愛いの使ってるんですね……!」

 

2.

「っと、いけね。あんま大声出すとアカリさんが起きちまう」

「道理で静かな訳だ。眠っているのか、アカリは」

「そうなんです、お昼寝タイム。それはともかく、せっかく来たんだからお茶でも飲んできますか?」

「気持ちだけ貰っておこう。子供が眠っているのに、邪魔をしたら悪いだろう。それに、オレはどうもあいつに怖がられているらしい」

「ああー……それは多分、身長差……? アカリとリヒトさんの間には、およそ70cmの距離感があるからして……」

「いや。屈もうとすると逃げられるんだが」

「……うん。ぬっ、て感じですもんね。リヒトさん、ちょい厳つめの顔だし……」

「……そうか」

「もしかして気にしてました……!?」

「いいや。……別に」

「その反応絶対気にしてましたよね済みません!」