カガミの手品

 近所のお肉屋さん、スーパーマン、大物政治家、金髪の女優さん。カガミが顔の前へ手を横切らせる度にくるくると見た目が変わっていく。

 誰にでもなれるけど、素顔は本人にもわからない。普段口には出さないけど、カガミはそれをすごく気にしてるみたいだ。

「俺が死んだら誰の顔になるんだろうな」

 黒いヘルメットを被りながら笑うその声が寂しそうだったから。死なないもん、と返すとやっぱり、寂しそうに笑うのだった。