デセオの非道

 務めを休んでしまっても良いかと邪神に聞いた。彼は勿論いいともと笑った。ずっと欲しかった模型を買っても良いかと邪神に聞いた。彼は勿論いいともと笑った。

 贅沢な食事を欲しがった。身の回りの雑務をこなす世話人を欲しがった。何もしなくても金銭に困らない暮らしを欲しがった。素晴らしい名声を欲しがった。友の恋人を欲しがった。奴隷のように虐げて遊べる女を欲しがった。忠告をしにきた父の鬼籍を望んだ。泣いて取り乱す母を娼館に下げ渡した。

 そうしてある時、子供の頃の写真を見つけた。新しい望みは際限なく思い付くのに、失ったものを取り戻そうと考えもしなかった自分に気づいてしまった。

 邪神に銃を向けながら聞いた。全てを終わらせても良いだろうか。彼は勿論いいともと嗤いながら、目にも留まらぬ早業で私の首を切り落とした。