#一行主従

【03.執事の心得】

 この家で長く働く為には主人の気紛れな言葉を逐一気に留めておく記憶力と、主人の唐突な失言を綺麗に忘れ去る忘却力が同時に求められる。

 

 

【02.主人の失言】

 旦那様、だから私は、あれほど外では、今度我が家に迎える養女の太股の美しさを熱弁なさるのはお控えください、と申し上げたのです。

 

 

【01.朝食の卵】

 よくできた従者にとって朝食の卵を調理するにあたり必要なのは二つだけ、絶妙な茹で加減と、今朝になって突然主人から、自分は流行りの菜食主義に目覚めたので今後一切卵はもちろん、昨日たっぷり買い込んだベーコンや大好きな魚も食わないと言われた夢が正夢にならないよう、静かに祈ることだ。